新型ウイルスの影響で家庭での消毒が当たり前になった今、とてつもなく多い質問が

これの違いってなんですか?
- 無水エタノール
- 消毒用エタノール
- 消毒用エタノールIP
今回はこの質問にドラッグストアのお薬担当として働いている私がわかりやすく解説します。
違いを比較するだけでなく、使い方についても解説しますのでぜひ最後まで読んでみてくださいね。
【無水・消毒用・IP】エタノールの4つの違い

このページでは無水エタノールと消毒用エタノールと消毒用エタノールIPの違いを4つの項目に分けて解説します。
- エタノール濃度
- 殺菌効果
- 値段
- 肌への優しさ
それではそれぞれ見ていきましょう。
エタノールの違い1:エタノール濃度
無水エタノール、消毒用アルコール、消毒用アルコールIPの1つ目の違いはエタノール濃度。
それぞれのエタノール濃度は以下の通り。
なんだか細かい数字が並んでいますが、
無水エタノールは水がほとんど入らない(無水)エタノールなのでほぼ100%
消毒用と名の付くエタノールは約80%になります。

濃度が濃いほうが殺菌効果も高いの?
と思われがちですが、答えはNO。
続いて気になる殺菌効果の違いについて見ていきましょう。
エタノールの違い2:殺菌効果
さて、先程エタノール濃度が高いほうが殺菌効果も高いのかという質問に「NO」と答えました。
では実際はどうなっているのかと言うとこちら。
以下のグラフをご覧ください。

このグラフにあるように、エタノールの濃度が70〜80%の時に殺菌効果が最も高いのです。
逆に無水エタノールのようなほぼ100%のエタノールでは30%のときよりも殺菌効果が下がっていることがわかります。

ここでワンポイントアドバイス!
無水エタノールを薄めて消毒に使うことも可能です。
【調製方法】
無水エタノール80mlに精製水20mlを混ぜれば完成!
消毒用エタノールはそのまま消毒に使えるという点では便利ですね。
エタノールの違い3:値段
さて、3つ目は値段の違いについて見ていきましょう。
健栄製薬公式サイトでの500mlの希望小売価格はこちら。
無水エタノールはエタノール濃度が高いため値段も高くなります。

あれ?それなら濃度が変わらない消毒用エタノールと消毒用エタノールIPの値段が違うのはなぜ?
という疑問の答えには税金が関係しているのです。
税金と聞くと耳をふさぎたくなる人もいそうですが安心してください。
わかりやすいように簡単にザックリと説明します。
そもそもなのですがエタノールは殺菌に使われるだけでなく、お酒のアルコールの成分でもあります。
無水エタノール、消毒用エタノールの値段が高いのはお酒として飲めるために酒税がかかるから。
そこで消毒用エタノールIPにはエタノールとは別のイソプロパノールを加え、飲用不可能としました。
そうすることで酒税がかからないようにし、少しだけ値段を抑えたのです。


飲用可能でも高濃度ですので飲むことはおすすめしません。
ちなみにイソプロパノールが添加されても消毒用エタノールIPの殺菌効果は消毒用エタノールと同等です。
ではイソプロパノールが加わることで、なにか影響はあるのでしょうか?
次からはそこにふれていきます。
エタノールの違い4:肌への優しさ
アルコールは脱脂作用と言って、油分を取り除く働きがあります。
そのため、アルコール消毒で手荒れが起こっている人もいるのではないでしょうか?
ここで比べているエタノールたちの肌への優しさはこんな感じ。
脱脂作用のあるエタノールの濃度が高いほど脱脂作用も強くなります。
一番濃度の濃い無水アルコールは少し注意が必要ですね。
そして消毒用エタノールIPで添加されたイソプロパノールはエタノールに比べて脱脂作用が強めと言われています。
入っている量は3.7%程度なのでそこまで変わりませんが、厳密に比べると消毒用エタノールの方が肌に優しいと言えます。
エタノールの違いまとめ
さて、少し長くなってしまったので、ここで一旦情報を整理しようと思います。
アルコール濃度 | 殺菌効果 | 値段 | 肌への優しさ | |
無水エタノール | 約100% | ✕ | 高 | ✕ |
消毒用エタノール | 約80% | ○ | 中 | ○ |
消毒用エタノールIP | 約80% | ○ | 安 | △ |
これらの違いを考慮しつつ、使用目的によって選ぶと良いでしょう。
といっても、

何をどれに使えばいいのかわからないよ。
という人もいると思いますので、次からは使い分けについて簡単にまとめていきます。
【無水・消毒用・IP】エタノールの使い分け

無水エタノール、消毒用アルコール、消毒用アルコールIPの使い方は大きく3つに別れます。
- 消毒
- 掃除・消臭
- 化粧品・アロマ・虫除けスプレー
それぞれ詳しく見ていきましょう。
エタノールの使い分け1:消毒
先程見たように、殺菌効果が高いのは消毒用エタノール、消毒用エタノールIPです。
消毒用エタノール、消毒用エタノールIPは手指や物の殺菌に使えます。
手指にはすり込むようにして、物は拭き取るようにして使いましょう。
消毒用エタノールIPは若干刺激が強いですので手指消毒に使う時には消毒用エタノールがおすすめです。
※傷口の殺菌には使えませんので注意してください。
エタノールの使い分け2:掃除・消臭
掃除や消臭はエタノールの濃度が高いほど効果が高くなります。
一番エタノールの濃度が高い無水エタノールを掃除や消臭に使いましょう。
エタノールは時間が経てば揮発するので、キッチンや冷蔵庫などの掃除にも安心して使えます。
他にも健栄製薬ではパソコンのキーボードやメイクブラシの掃除にもおすすめしています。
エタノールの使い分け3:化粧品・アロマ・虫除けスプレー
エタノールは化粧品やアロマを手作りする場合にも活躍します。
主に水と油を混ぜる時の溶剤や、蒸発する時に清涼感を与える目的で使われます。
一般的には無水エタノールを使うことが多いです。
ちなみに虫除けスプレーに関しては無水エタノールなし作ることも可能です。
手作りを考えている人は次のページを参考にしてみてください。
まとめ:目的に合ったエタノールを選ぼう!

以上、無水エタノール、消毒用エタノール、消毒用エタノールIPの違いについてまとめました。
ここでは「アルコール濃度」「殺菌効果」「値段」「肌への優しさ」を比較してきました。
簡単な一覧はこんな感じ。
アルコール濃度 | 殺菌効果 | 値段 | 肌への優しさ | |
無水エタノール | 約100% | ✕ | 高 | ✕ |
消毒用エタノール | 約80% | ○ | 中 | ○ |
消毒用エタノールIP | 約80% | ○ | 安 | △ |
さらに、エタノールの使い分けについても3つの観点からおすすめを紹介しました。
- 消毒:消毒用エタノール、消毒用エタノールIP
- 掃除・消臭:無水アルコール
- 化粧品・アロマ・虫除けスプレー:無水アルコール
使いたい用途や使用目的によって使い分けてくださいね。
コロナウイルス関連でワクチンに使える解熱鎮痛剤に関する問い合わせも増えています。
こちらのページも合わせて見ていってくださいね。
参考▶【厚労省認可】コロナワクチンで使える市販の解熱鎮痛薬おすすめ3種

もし今回の内容がいいなと思っていただけましたら、下のボタンをポチッとしてもらえたら嬉しいです。
ツイッターでも情報を発信していますので、もしよかったらフォローお願いします。
コメント